どことも知れぬどこかの場所、どこかも分からぬどこかの空の下。
少女は今日も歩いている。
栗色の髪と小柄な背丈、奇妙な帽子と割烹着。小さな口にはあんぱんひとつ。
小さな白猫一匹連れて、少女は今日も探している。
それは少女の思い人。少女と同じ顔をした、少女の愛しい女の子。


ある時誰かがこう聞いた。
「あなたは誰を探しているの?」
少女がそれに答えて言った。
「決まっています、好きな人をです」
当然のようにそう言った。そして少女は歩いていった。

ある時誰かがこう聞いた。
「あなたはどうして探しているの?」
少女がそれに答えて言った。
「決まっています、好きだからです」
当然のようにそう言った。そして少女は歩いていった。

ある時誰かがこう聞いた。
「あなたはどうして彼女を好きなの?」
少女がそれに答えて言った。
「決まっています、彼女だからです」
当然のようにそう言った。そして少女は歩いていった。

ある時誰かがこう聞いた。
「あなたはいつまで探し続けるの?」
少女がそれに答えて言った。
「決まっています、いつまでもです」
当然のようにそう言った。そして少女は歩いていった。

ある時誰かがこう聞いた。
「あなたはどこまで探しに行くの?」
少女がそれに答えて言った。
「決まっています、どこまでもです」
当然のようにそう言った。そして少女は歩いていった。

ある時誰かがこう聞いた。
「彼女に会えたらどうするの?」
少女がそれに答えて言った。
「決まっています。それはね――」
当然のように何かを言った。そして少女は歩いていった。


どことも知れぬどこかの場所、どこかも分からぬどこかの空の下。
少女は今日も歩いている。
栗色の髪と小柄な背丈、奇妙な帽子と割烹着。かわいい口にはあんぱんひとつ。
小さな白猫一匹連れて、きっと少女は探している。
それは少女の思い人。彼女と同じ姿をした、宇宙で一番愛しいあの子。










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知っている人も知らない人も置いてけぼり。
ゴースト「宇宙で一番愛してる」――ぜんざい支援ゴーストとして生まれた、誰かを好きな彼女の姿が好きでした、という超短文。
名無しのユーザとしてではなく名前のある人として何かをしてみよう、と思ったのも元を辿ればこの子の影響だったりします。




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